2016年7月7日木曜日

『ポアンカレ予想を解いた数学者』 (日経BP社)

ドナル・オシア著、日本語版の初版:2007年6月
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2007年1月、NHK TVで『数学者はキノコ狩りの夢を見る』という数学関連の番組が放送された。その後、再放送されたから観た人は多いかもしれない。ポアンカレ予想という難問があって、2002~2003年にロシアのグリゴリー・ペレルマンによって事実上解決された。
数学のノーベル賞に相当する・・・あるいは其れ以上に価値のあると言う人もいる・・・フィールズ賞を辞退したことでも有名で、この予想(定理)を証明後、数学の世界から姿を消し、田舎で独り密かにキノコ狩りをしているという「うわさ」が立ったそうである。
掲題の本は此の予想の数学の分野であるトポロジー(位相幾何学)の初心者向けの解説及びポアンカレ予想とは如何なる問題か、について書かれた一般読者向けの本である。詳しく知りたい方は本書を読んでいただくとして、上に書いたテレビ番組や本に書かれたことで私が興味を感じたことを以下に書く。勿論、面白いコトは書かれてるが其れらは割愛する。
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TV番組で、4次元以上の「空間」における「結びめ」を説明するのに、ジェットコースターを用いて解説しているところなど、面白かった。ジェットコースターの、地面に映る影が、複雑な「結びめ」をもっているのに、ジェットコースターそのものは、3次元空間では「結ばれてはいない」というわけ。結ばれていたら脱線してしまう。これと同じことが、3次元空間そのものの、「結びめ」の有無も、より高次元から眺めれば、解るということらしい。上手い解説だと私は思う。

地球の「形」は、球体の形態か、はたまた、ドーナツ状の形態か。今では球体であることが常識になっているが、昔は、分からなかった。その形態を知る方法は・・・などの、この番組や本での解説も分かりやすかった。

では、われわれの、この宇宙は、どういう形をしているのだろう? この話は、3次元空間以上の「形」の話になってくるから、簡単には理解はできない。

この宇宙の形態を知る思考実験があって・・・それが、ポアンカレ予想に密接に関連していて・・・この本で丁寧に解説してくれている。なるほどなぁ~と思うところも多々あって、面白い。

特に、面白かったのは、ダンテの『神曲』の話。ダンテがペアトリーチェと眺める宇宙は、実は3-球面だったに違いないという話。(この本の62頁あたり)

この、我々の宇宙は、一種の「球面」に比較でき、いわば此の超宇宙は、そのような「球面」が、何層にも重なっている。ダンテは、そのような、一つの「球面」に立っていて、そこから、他の宇宙である「球面」を眺めている・・・

しかし、ダンテが現在のトポロジーを知っているはずはないが、その真実を天才として直観していたのだろう。

とんでもなく「分からない」世界だけど、しかし、なんとなく分からなくもないような、不思議な・・・話。 

・要するに我々の宇宙は、結局トポロシ゜ー的に最もシンプルなをしているのというのがポアンカレ予想だが、これは、文学的にも納得できるのではないだろうか。
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以上が私の感想の断片だが、恐らく、これを読んで、なんのことか分からない人が多いだろう。畢竟、私だって同じだから。


ただ、この世は数学で説明できる世界であり、かつ、我々の宇宙、乃至、我々以外の全宇宙は、最もシンプルに出来ているらしい・・・ということは私如き人間には実に愉快である。