何故動物は夢をみるのか、ということの説明で、この本で紹介されていない他の説明が L.ワトソンの 『生命潮流』 という本に書かれている。
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それは、そもそも、睡眠とは動物をジッと静止させておく “固定剤” の作用をさせるものでもあるというのだ。
動物にとって外界をウロウロ動き回るのは、必ずしも有利なことではなく、隠れ場所でジッと動かずに居ることが有利な場合もあるわけで、そういう一個所での静止状態を保つために睡眠が発達していったというのだ。
そしてREM睡眠即ち夢をみるということは、睡眠中に危険な場合に遭遇したとき直ぐ行動に移れる用意だというのだ。
夢とは、いざというときのために体にエンジンをかけておくというわけだ。
睡眠の期間中、定期的に現われる夢とは 『動物を動かない状態にしたまま、なおかつ目を覚ます準備態勢をとらせる警報装置』 だというのである。
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このように、たかが夢といっても、いろいろな役目があるようで私は驚いてしまう。
夢のいろいろな学説も、たぶん、それぞれ正しい面があるのだろう。夢は一筋縄ではいかない複雑怪奇な現象ようだ。
この本に書かれている更に興味深い話はカルフォルニア大学のゴードン・グロバスという学者の “実存的精神医学” に関連する話。
これは難解で、この本で読んでもよく解らないが何か興味深い。
以下その不可思議な魅惑的な“学説”を紹介しよう。
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夢とは我々の昼間の出来事の反映などではなくて、夢は一つの独立した実体というのだ。
荘子は蝶になった夢をみたそうだが、荘子のジレンマは、実は我々の実存的なジレンマなのだ。
つまり 『わたしは蝶になった夢を見ている人間なのか、それとも人間になった夢をみている蝶なのだろうか?』 というわけだ。
この本では、以下のように書かれている。
『 私たちが知覚する世界は全てアプリオリに脳の中に存在する。
いま、私たちが見ている世界はこの無限のアプリオリな貯えの中から選ばれたものです。・・・夢は限りなく創造的です。
何故かというと夢を見る機構は脳の無限の貯えから私たちがそれまで見たことのないものを選びとるからです。』
『私たちは全員みな同じ世界を知覚しているというが、しかしブラックホールと呼ばれる奇妙な天体から、それと同じぐらいに奇怪なクオークにいたるこの宇宙が壮大な集団的な”夢”である可能性もある。』
『私たちが現に知覚しているようにものごとを知覚するのは、ホモ・サピエンシスの脳がそのようにできているだけのことかも知れない。神の脳あるいは別の進化をとげた地球外脳は異なる宇宙を”構想”するだろうか?』
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私はこういう煙りにまかれるような話しは大好きであるが、しかし本当にこの世界は”客観的”実在世界なんてもんじゃあなくて、私の脳が”勝手に”創り上げた幻想なのだろうか。
そうかも知れない。一切合財、夢のまた夢。
この世は私の脳の幻覚!