この本に大変面白い、他の話が書いてあるので紹介しよう(p.29)。
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あるパーティで三人のお客があり、ホステスが三人のオーバーを預かった。
ところがパーティが解散という時になって突然停電してしまった。
そこでホステスはめくらめっぽうに三人のお客にそれぞれのオーバーを手渡すことになったのであるが、三人とも自分のオーバーを渡されない確率、つまり全員が他人のオーバーを渡される確率はどれ程であろうか?
この確率は実は1/3となる(詳細はこの本p.24参照)。
実は此の話が面白いのは以下の事実である。
お客の数が1000人であろうと、その確率はやはり、ほとんど1/3なのである!!
直感的には、お客の数が多くなれば全員が他人のオーバーを渡される確率はずっと小さくなる、あるいは大きくなると考えるであろうが実はそうではないのである!!
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このことは、科学的に訓練されていない直感が、いかに当てにならないかを示す大変良い例であると著者は言う。
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掲題の本には、このような話がこの本には満載されいている。
予防注射の効果は? 偽薬の効果は? 目隠しクイズでの当否は? 等等。
この本の最後で著者は以下のように書いている。引用してみよう。
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(推計学を実学として使用していない) 一般の人々も、世論調査、品質調査などの正しい意味を理解し、ごまかしの調査を見破る素地をもつとともに、不確かなカンによる判断を避け、合理的な判断を養うためにも、推計学の基本的な考え方を知っておくことは役に立つに違いない。(中略)
統計学という権威を盲信したり、逆に経験論をふりまわして無理解ぶりを発揮しないために、少なくとも母集団とか仮説検定とか、標準偏差という言葉が何を意味するかを知っておく必要がある。
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この著者の文章は私にも耳の痛い正論である。
世の中は「分からない」ことが多い。その「分からない」ことに対して世間では統計だの確率だのという言葉を盛んに使って説明する。
其の「分からない」ことを科学的に具体的数値として表現するには、統計とか確率とかに拠らざるを得ないだろう。
しかし、肝心の統計とか確率なるものの内容を、ある程度は知っていなければ、人は「分からない」ことを「分かった」かのように盲信するすることになる。
そのような盲信は、「分からない」ことを「わからない」として己の無知を素直に知ることよりもタチが悪いかもことかも知れない。
そうならないためにも、この本は私みたいなド素人向きの良書と言える。