2014年8月12日火曜日

『ボアンカレ予想を解いた数学者』(ドナル・オシア)著

『ポアンカレ予想を解いた数学者』(ドナル・オシア著、糸川洋訳、日経BP社)

この本も大変面白かった。読んだ時期は、一昨年(2008年)の師走だったと思う。小生は工学部・電子工学出身だが、学部での数学の講義は、「解析学入門」と「線型代数学入門」のみで、いわゆるトポロジーは無縁だった。従って、ポアンカレ予想そのものの問題意識自体が理解できていなかったが、素人向けに親切に書かれた、この本て゜、その予想の概観や、数学史的背景を若干でも知ることができた。

この本で、特に面白かったのは、ダンテの「神曲」で、ダンテとペアトリーチェが見た宇宙は3-球面だ、という箇所(p.62~)だ。P.64の図4も、実に面白く、3-球面というものが、どんなものか空想できた。3-球面は、4次元空間同様に、人間の脳は、それを明確に知覚できるようには、「プログラムされていない」。

しかし、それらは、数学的実在には違いなく、数学の思考というものは、人間の、そんな知覚限界を楽々と超えてしまう。数学という学問は大変魅力がある。ともかく、自身の内部に論理矛盾がなければ、「なんでもあり」の世界だから。尤も、ゲーデルの不完全性定理の示す「限界」はあるにせよ。