2014年8月12日火曜日

『無限の果てに何があるか・現代数学の招待』(足立恒夫著)

『無限の果てに何があるか・現代数学の招待』(足立恒夫著、光文社・知恵の森文庫)

著者は此の本のブロローグで以下ように書いている。

『中世の暗闇的段階にどまっている(現代の)世間一般の数学的知識を、現代数学の基礎がかたまった二十世紀前半ころの数学のレベルにまで高めよう、という意欲をもって書いた試論、いわゆるエッセーである。(中略)ぼんやりとでも現代数学の思想をわきまえていなければ、世界観に欠陥があると言えるのではないか、という挑発的問いかけのもとに、文化系の教養をもった読者を想定して(中略)現代数学の精神を、まっ正面から解説したものである。』

***
著者は『文科系の教養をもった読者を想定して』と書いているが、おそらく大多数の理工系読者も含めたほうがよいと私は思う。特定の専門家を除いて、果たして例えば虚数とは何かを理解している者は理工系の者・・・現役者、退役者を問わず・・・稀有ではないだろうか。この本は、そういう意味で現在を生きている人全てに対する数学解説書と言える。

***
文庫本サイズで、とても読みやすい。虚数や集合などを、やさしく説明してくれている。260頁ほどの本だが、小生は、何回か読んでいる。数学の本は、何度よんでも飽きない点がよい。読めば読むほど理解が深まる。持ち運ぶには手ごろのサイズの本なので、病院の待合時間に読むにも、好適な良書だ。また何回も読み返す本だ。ただし「寝転がって読める(理解できる」本では決してない。数学は、そんなに甘くはないと著者は警告してもいる。

***
映画『博士の愛した数式』(監督:小泉堯史、主演:寺尾聡)で、登場する有名なオイラーの公式は、この本では、e^(2πi)=1という公式で登場するが、この本では以下のように解説されている。即ち、『「πは幾何学的な基本量」「eは解析的に基本量」「iは代数的な基本量」であり、それらの量の間に、e^(2πi)=1という目を見張るような関係が成り立』ち、『この関係式を学んで数学を志すことにしたという話もよく聞く』。

確かに此の公式は神秘的なほどに美しい。これほど簡潔で完璧な美しい公式は他に無いだろう。「博士」が愛するのも、むべなるかな、である。