掲題の本についての感想はネットで、いろいろと書かれているから先ずはソチラをご覧になれば、今更、この有名な本に私が蛇足を加える必要はない。
とは言うもののソレデ オシマイ とするのはナンだから、蛇足を以下に付け足しておく。
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ともかく『乾いた』文章が切れ目なく続き、又、其れが、ここまでやるかと思わせるほど『省略』されているから、そういう意味では此の本は決して読みやすい小説ではない。
事実、この小説に登場する人物は10名程度であるのだが、その人間関係を掴むには、私みたいに記億力の貧弱な人間には苦労する。
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人間という者は、何らかの『社会』の中で生きざるを得ない。
この本で印象的な文章がある。引用しよう。
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住むとか生きるとかいうきたなさをを伴った場所から出て、どこかよそのいい処、浄い処、極端に云えば台所と便所のない処へ行きたいのだが、そんな処は墓よりほかにあるだろうか。
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なるほど、今生の如何なる『社会』に居ようとも、其処には『台所と便所』が必ずあるものだ。
Aという『社会』からBという『社会』へ移ろうとも・・・即ち、『流れ』ようとも・・・其処には、食らうコトと排泄するコトが必ず付きまとうものだ。こればかりは生きているものの宿命である。
食らうコトと排泄するコトがきたないコトである・・・換言すれば其れが人間というものの業(ごう)であるならば、それから逃れるには死しかあるまいと筆者は云っているにように私には見える。
実は私も同意見である。