2015年7月10日金曜日

『かくれ里』(白洲正子著)

本書の内容は以下のように紹介されている。

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世を避けて隠れ忍ぶ村里――かくれ里。吉野・葛城・伊賀・越前・滋賀・美濃などの山河風物を訪ね、美と神秘のチョウ溢(チョウイツ)した深い木立に分け入り、自然が語りかける言葉を聞き、日本の古い歴史、伝承、習俗を伝える。閑寂な山里、村人たちに守られ続ける美術品との邂逅。能・絵画・陶器等に造詣深い筆者が名文で迫る紀行エッセイ。
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全く其のとおりの本だが、もし私が、吉野・葛城・伊賀・越前・滋賀・美濃の辺りに生まれ育ったら、この本を楽しく読めただろう。

しかし残念ながら私の在所は此の地方とは、あまりにかけ離れており、正直なところ、実感として共鳴するまでには至らなかった。ただ、この本で紹介されている伝承、習俗等の古俗には興味ぶかいモノはあった。

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随分、昔になるが、NHKの教育テレビで毎週の日曜日の午後6時より『日本の伝統と、その継承』という大変、地味なドキュメンタリーが放送されたことがある。

私は此の番組を、大変、面白く見ていたものだ。

この放送番組のコンセプトは掲題の本の内容と同じだと私は思うが、やはり、このような隠れた『民俗学』的なものは、活字より映像で見るほうが分かりやすく、また楽しめる。

特に自身が住んで所の『日本の古い歴史、伝承、習俗』については、そうだ。

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掲題の本は、1971年の出版の本だから、当時の「かくれ里」は、今や、そう呼べない所も多いだろう。

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上記した此の本の紹介文で『名文で迫る紀行エッセイ』と書かれているが、事実、そのとおりで、肩の力がぬけた簡明な文章で書かれている。

しかし、また筆者の、もろもろなもの対する造詣の深さが、なんの嫌味もなく読者に伝わってくる。

確かに名エッセイと言えるだろう。