2016年1月14日木曜日

『医学の勝利が国家を滅ぼす』(補足)

限りある国家予算(つまり私たちが支払う税金)、医学の進歩に伴って限りなき増加を続ける医療費。その折り合いをどうするか。これは今後ますます私たちにとって避けては通られない難問です。
この里見清一という臨床医の特別寄稿記事での「処方箋」は、(読んでもらえるのが一番いいのですが)、現実の臨床現場で働いている医師の率直な提案です。
此の世を去る最も良い方法は、他人の迷惑をかけずに、また自身のQOLを下げることなくポックリとオサラバすることです。
しかし、そんなに上手くはいかないのが現実。
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里見医師はこの投稿記事を以下のように締めくくっています。
『突き詰めると、我々は、「人間はいつまで生きる(生かされる)権利があるのか、「人間は、はいつまで生きる(生かされる)義務があるのか」という問題に直面しているのである。そしてこの難問を我々に突きつけたのは、人類の進歩による「医学の勝利」に他ならない。だから、我々に逃げ道はない。覚悟を決めるときである。』
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私は里見医師の言うとおりだと思います。
我々は、いわば、深沢一郎の『楢山節考』の主人公の「おりん婆さん」の立場にいるのです。このお婆さんの村では70歳になったら山に捨てられる掟がある。誰が悪いのでもない。この村には、そのような、お婆さんを養うほどの余裕はないからです。

このお婆さんは70歳を前にしても歯も一本も欠けておらず、自らそれを恥じて、わざわざ折る。そして孝行息子に背負されて死の旅路へと出向くのです。村の掟を守るために・・・

2016年1月12日火曜日

『医学の勝利が国家を滅ぼす』

新薬の公的コストが国家財政の大きな負担となり、そのまま放置すれば国家財政破綻となり日本国は沈没に帰す、という話は世事に疎い私の耳にも聞こえてくる。

この国家的な危機についての解説が、先日、図書館から借りた月刊誌『新潮45』(2015年11月号)に掲載されている。里見清一という臨床医の特別寄稿『医学の勝利が国家を滅ぼす』がそれだ。

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この特別寄稿は、臨床医の立場から、私のようなド素人でもナルホドと理解できる言わば啓蒙の記事であり、警鐘の記事でもある。

確かに此の問題を放置すれば日本国沈没は必須であろうことは、此の記事に書かれた具体的事例を読めばよく分かる。

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日本国の其の財政破綻を救う唯一の処方箋は、筆者によれば以下の結論となる。

即ち、以下を法制化する。

『75歳以上の全ての日本国民の患者の延命治療は禁止し、対症療法のみとする』

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この法制化の理由と根拠を、此の記事(5頁)で丁寧に具体的に分かり易く説明していて私も大賛成である。

人生に病はつきものである。病者にとって如何に其のQOL(生活の質)を保つか、それは我々にとって極めて身近な問題である。

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できたら、この記事を読まれることを勧める。