私は阿呆である。Aという心配が済めば、Bという心配をしだし、それが済むと、Cという心配をしだし、それが済むとDという心配をしだし・・・、つまり私は心配を常に探している阿呆である。だから、毎日毎日が不安の日々の連続であり平穏なときがない。
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そんな阿呆な私にとって、掲題の本は心に沁みた。痛いほど理解できた。本というものの有難さを、あらためて身に沁みた。
もちろん此の本に書かれている事柄は、私如き阿呆のレヴェルを超えているが、現代を生きる人間の『不安と悩み』という点においては全く共通しており、私に多くの示唆を与えてくれた。
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自我というものが引き裂かれ、なんの拠り所もなくなりつつある私たち現代人の『不安と悩み』。
なぜ、そうなったのか。この本はソコを丁寧に解説してくれている。
その解説は決して他人事ではなく、我が身の今日ただいまの切実な問題として、繰り返すが痛いほど私は理解できた。
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この本は、余生というものが残り少なくなった私にとって、あるいは最後の貴重な本となるだろう。